【2026年最新】サウジアラビア外国人不動産所有法が施行|制度の全容と活用ガイド

サウジアラビア外国人不動産所有法 2026年

はじめに──サウジアラビア不動産市場が外国人に本格開放

2026年1月21日、サウジアラビアで「非サウジ人による不動産所有法(Law of Real Estate Ownership by Non-Saudis)」が正式に施行されました。これは2025年7月に閣議承認・勅令M/14号として公布された法律で、官報掲載から180日の移行期間を経て発効したものです。不動産総局(Real Estate General Authority、以下REGA)が1月22日に施行開始を公式発表し、同日から外国人による不動産取得の申請受付が始まりました(REGA公式発表)。

従来、サウジアラビアでは外国人の不動産所有に厳しい制限が設けられており、2000年制定の旧法のもとでは、外資系企業が事業用途に限定して不動産を取得するか、上場企業・ファンドを通じた間接的な保有に留まるケースがほとんどでした。今回の新法は、この旧法を全面的に置き換えるものであり、外国人の個人・法人による直接的な不動産所有に門戸を開く画期的な制度変更です。

本記事では、新法の主要ポイントを整理し、日本人投資家がサウジアラビア不動産市場を検討するうえで理解すべき制度の枠組み、手続き、コスト、そして今後の注目事項を実務的な視点から解説します。なお、本記事の情報は2026年3月11日時点で公表されている公式情報および信頼性の高い報道に基づいています。

規制更新の主なポイント

新法による制度変更は多岐にわたります。以下に主要なポイントを整理します。

  • 対象者の大幅拡大:新法では「非サウジ人(Non-Saudi)」を広く定義しています。サウジ国籍を持たない個人(居住者・非居住者の双方)、外国法人、外国人株主を持つサウジ法人、非営利団体、外交使節団などが対象に含まれます。従来のように投資ライセンスや特定の資本要件を満たさなければ取得できなかった制約が大幅に緩和されました。日本国籍の個人や日系企業も、所定の条件を満たすことで不動産取得が可能になります。
  • 「地理ゾーン」に基づくゾーニング制度の導入:新法の核心は、閣議決定で指定される「地理ゾーン(Geographical Zones)」内での所有を許可する仕組みです。REGAの提案に基づき、経済開発評議会の承認を経て閣議で決定されるこのゾーンでは、外国人が取得できる不動産の種類、所有割合の上限、用益権(ウスフルクト)の最長期間、取得条件などが個別に定められます。REGAは約170の地理ゾーンを設定する準備を進めており、リヤド、ジッダをはじめ、王国内の各都市・県を網羅する計画です(Saudi Gazette報道)。
  • 居住者向けの特例──ゾーン外での住宅1戸所有:サウジアラビアに合法的に居住する外国人(イカーマ保有者)は、指定ゾーン外であっても自己居住用として住宅1戸を所有することが認められます。ただし、メッカおよびメディナはこの特例の対象外であり、両聖都での所有にはイスラム教徒であることが要件となります。
  • メッカ・メディナにおける特別規制:両聖都では、外国人個人の所有はイスラム教徒に限定されます。また、外国人株主を持つサウジ法人や、上場企業・投資ファンドについても、所定の条件のもとで限定的に取得が認められますが、厳格な規制管理下に置かれます。これは2000年旧法では完全に禁止されていた領域であり、歴史的な転換といえます。
  • 法人向けの柔軟な取得枠組み:外国人株主を持つサウジ法人(非上場)は、新法上「非サウジ人」として扱われないため、地理ゾーン内外で比較的広い範囲での不動産取得が可能です。事業用・従業員住居用途であれば、ゾーン外での取得も認められる場合があります。上場企業、投資ファンド、特別目的会社(SPV)については、資本市場法および施行細則に基づき、メッカ・メディナを含む取得が可能とされています。
  • 不動産登記の義務化:外国人による不動産取得は、国家不動産登記簿(Real Estate Registry)への登録が法的効力発生の要件とされています。未登録の取引は法的に無効です。
  • 取引コスト──最大10%の負担:新法では、外国人による不動産処分(売却)時に物件価額の最大5%の移転手数料が課されます。これは既存の不動産取引税(RETT)5%に加算されるため、合計で最大10%の取引コストが発生する可能性があります(King & Spalding分析)。投資収益の試算においてはこの点を十分に考慮する必要があります。
  • 厳格な罰則規定:新法または施行細則への違反には、警告または物件価額の最大5%(上限SAR 1,000万=約3.8億円相当)の罰金が科される可能性があります。虚偽情報に基づく取得が判明した場合は、罰金に加え強制売却(公開オークション)が命じられることがあります。違反者には、売却代金から税金・手数料・費用を控除した残額か、元の購入価格のいずれか低い方しか支払われず、差額は国庫に帰属します。

日本人投資家への影響──実務的な視点から

直接所有の道が開かれた意義

従来、日本人がサウジアラビアの不動産に投資するには、現地法人を設立して投資ライセンスを取得するか、上場REIT・ファンドを経由する間接的な手段がほぼ唯一の選択肢でした。新法の施行により、個人名義での直接所有という新たな選択肢が加わりました。ただし、これは「指定された地理ゾーン内」に限定されるため、ゾーン文書の公表内容を確認することが不可欠です。

申請手続きの実際

REGAは外国人向けの一元的なデジタルポータル「Saudi Properties」を開設しました。申請の流れは、申請者の区分によって異なります。

サウジアラビアに居住している外国人は、滞在許可証(イカーマ)を用いてポータルから直接電子申請できます。資格確認から手続き完了まですべてオンラインで行われます。

サウジアラビアに居住していない外国人(日本在住の投資家など)は、まず海外のサウジアラビア大使館・領事館を通じてデジタルIDを取得したうえで、Saudi Propertiesポータルから申請を行う必要があります(ジェトロ報道)。

サウジアラビアに拠点を持たない外国法人が不動産を取得する場合は、事前にサウジアラビア投資省(MISA)の「Invest Saudi」プラットフォームに登録し、統一番号(700番号)を取得する必要があります。日系企業のサウジ進出を伴う不動産取得には、この事前登録ステップが重要です。

投資構造の選択肢

新法は、取得主体の法的性質に応じて異なるルールを適用します。具体的には、外国法人として直接取得する場合、外国人株主を持つサウジ法人を設立して取得する場合、上場企業やファンドを通じて取得する場合の3つの経路があり、それぞれメリットと制約が異なります。

特に注目すべきは、外国人株主を持つサウジ法人が「非サウジ人」として扱われない点です。この構造を活用すれば、ゾーン内外での取得範囲が広がるほか、メッカ・メディナでの取得も条件付きで可能になります。M&Aや事業再編を伴う投資スキームを検討する場合、この法的区分は極めて重要な設計要素となります。

コスト構造の理解

日本人投資家がサウジ不動産の投資リターンを試算する際は、以下のコスト要素を考慮する必要があります。

項目 料率・条件 備考
不動産取引税(RETT) 物件価額の5% 既存の税制。売買時に課税
外国人向け移転手数料 物件価額の最大5% 新法で導入。処分時に課される可能性
合計取引コスト 最大10% 取得・処分の両局面で発生しうる
違反時の罰金 物件価額の最大5%(上限SAR 1,000万) 法令違反時に科される行政罰

なお、サウジアラビアには個人の賃貸所得に対する所得税が課されない点は、インカムゲイン志向の投資家にとってプラス要因です。しかし、日本の税法上は海外不動産からの所得についても確定申告義務がある点に留意してください。日サウジ間の租税条約の適用関係についても、税理士等の専門家に確認することを推奨します。

市場環境の参考情報

サウジアラビアの不動産市場は、Vision 2030の推進を背景に成長基調にあるとされています。各種報道によれば、2024年の不動産セクター収入は約1,323億米ドルと推定され、2030年には2,014億米ドル超に達するとの予測もあります。リヤドでは2025年に前年比10.6%の価格上昇が報告され、600社超の国際企業がリヤドに地域本社を設置しています。一方で、2025年9月にリヤドで導入された5年間の家賃凍結令や、遊休地税(White Land Tax)の10%への引き上げなど、市場の過熱を抑制する政策も並行して実施されています。これらの情報はあくまで参考であり、将来の市場動向を保証するものではありません。

今後の留意点──手続き・タイミング・リスク

「地理ゾーン文書」の公表時期に注目

REGAは、約170の地理ゾーンを定める「地理ゾーン文書(Geographic Zones Document)」を2026年第1四半期(1〜3月)中に公表すると発表しています。この文書には、外国人が不動産を取得可能なゾーンの地図、取得可能な権利の種類、所有割合の上限、用益権の期間制限、規制条件などが詳細に記載される予定です。2026年3月11日現在、同文書の正式公表は確認されていませんが、Q1期限である3月末までの公表が見込まれます。この文書が公表されるまでは、具体的にどの地区で外国人所有が認められるかが確定しないため、投資判断においてはゾーン文書の内容確認を最優先事項としてください。

施行細則(Implementing Regulation)の策定

新法は、施行から180日以内(2026年7月頃まで)に施行細則を策定・公表すると定めています。施行細則では、物権取得の具体的手続き、非居住外国人の要件詳細、移転手数料の算定方法、免除条件などが規定される予定です。施行細則が出揃うまでは、制度の全体像が確定しない部分が残ります。M&A契約や投資契約のドキュメンテーションにおいては、規制変更リスクの配分(表明保証、コベナンツ、前提条件など)を慎重に設計することが推奨されます。

既存スキームの見直し

従来、ノミニー契約や間接的なファンド経由でサウジ不動産へのエクスポージャーを持っていた投資家は、新法の枠組みに合わせたスキーム再構築を検討する必要があるかもしれません。新法のもとでは、登記が効力要件とされるため、未登記の所有スキームは法的リスクを伴います。

デューデリジェンスの重要性

外国人投資家がサウジ不動産に投資する際は、以下の事項について十分なデューデリジェンスを行うことが重要です。対象物件が指定地理ゾーン内に所在するかの確認、取得を予定する権利類型がゾーン条件で許可されているかの確認、所有割合や期間の上限への適合性、売主の権利の有効性と登記状況、関連する税務・手数料の正確な算定、そして日本側の税務・為替規制への対応が挙げられます。

専門家への相談

サウジアラビアの不動産法制は、新法の施行によって大きな転換期を迎えていますが、施行細則やゾーン文書の策定が進行中であり、制度の細部は今後数か月で具体化していく段階にあります。日本人投資家がサウジ不動産への投資を具体的に検討する場合は、サウジアラビア法に精通した弁護士、税理士、不動産コンサルタントに相談し、最新の法的枠組みに基づいた助言を受けることを強く推奨します。

まとめ

サウジアラビアの外国人不動産所有法の施行は、中東最大級の経済大国が不動産市場を外国資本に本格開放する歴史的な一歩です。日本人投資家にとっても、従来は事実上アクセスが困難であった市場への参入機会が制度的に整備されつつあります。

しかし、地理ゾーン文書や施行細則など、制度の重要な構成要素がまだ策定途上にあること、最大10%に達しうる取引コスト、メッカ・メディナにおける宗教上の制限、厳格な罰則規定など、投資判断にあたって慎重に検討すべき要素も少なくありません。制度の全容が明らかになるまでは、情報収集と専門家との連携を継続しながら、段階的に検討を進めることが賢明なアプローチといえるでしょう。

今後、地理ゾーン文書の正式公表や施行細則の策定が進み次第、追加情報をお届けする予定です。

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【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を意図するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。記載されている価格、条件、制度等は今後変更される可能性があります。投資前に必ず最新の公式情報および専門家の助言をご確認ください。

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